学会長あいさつ

 この度、2024年9月7日(土)に開催される第8回岩手県立病院総合学会の会長を務めることになりました岩手県立中央病院の宮田剛と申します。

 少子高齢化、人口減少の背景の中で、ウイルスパンデミック、頻繁な自然災害、収まらない国際紛争、不信感募る政局など、暗澹たる気持ちになるニュースが多い時代ではありますが、岩手県内の医療現場では、粛々とその使命を果たすべく病院職員が活躍しています。目の前の患者さんが笑顔になってくれることに喜びを感じる我々のエネルギーが、何かしら県民皆さんの幸福に貢献しているはずです。

 ところで「幸福」について皆さんはどのように考えでしょうか。幸福は意識して獲得するものではなく、自然と感じるものだ、というご意見もあるかもしれません。しかし近年、ウェルビーイングという言葉とともにこの幸福が意識されるようになってきました。「ひとはどんな時に幸福を感じるのか」、「どんな時にそれが蝕まれるのか」を少し意識しておくことは、病院職員として、また一人の人間としてもプラスになることかもしれません。

 健康を守る医療は、人々の幸福の大きな基盤を担っています。我々は目の前の患者さんの幸福に寄与すべき職業ですので、この言葉に関して少し深堀しておく必要があろうかと思います。そこで今回の総合学会のテーマは、『この時代の幸福について話そう -岩手県立病院の戦略会議―』としました。

 特別講演には、幸福に関して多くの著作やご講演で発信をされている株式会社インテグレート代表取締役CEOの藤田康人氏にお願いしました。「幸福」というものを分解して解説いただき、目指すべき方向性をお話しいただきます。また職種を超えたシンポジウムを3つ考えました。一つ目は医療現場で働く我々の幸福について考える戦略会議です。どんな職場であれば我々は幸福を感じながら働くことができるのか考えます。二つ目は、病を患った患者さんが、いかに早く回復して、再び社会生活できる幸福を実感することができるかを考える戦略会議としました。そして最後は、人生の最後に立ち会うことも多い病院という場で、人生最後に幸福だったと感じられるための医療の在り方を考える戦略会議としました。ひとつの結論にまとまることはないと思いますが、ディスカッションの中で、それぞれなにかを考えるきっかけとなることを期待しています。この社会課題が山積する時代の中で、幸福について話をしましょう。

 午後は、各部門の学会が開催され、こちらも盛りだくさんの企画となっています。各分野でのテーマに沿った演題も一般演題としても募集いたします。それぞれの職種、部門の募集要項に従って、ご応募いただきますようお願い申し上げます。最後には懇親会も行いますので、久しぶりに会う仲間との旧交を温める場としてください。今回は現地でお互いに対面できることを主眼とし、集合開催を基本とします。ただ各職種が交わるシンポジウムや特別講演などに関しては、後日オンデマンドで視聴可能としますのでご覧ください。

 では盛岡の地で皆さんと有意義な一日になることを楽しみにしております。是非、ご参加ください。

2024年4月吉日

第8回岩手県立病院総合学会

学会長 宮田 剛

(岩手県立中央病院 院長)